『ライフ イズ ストレンジ』シリーズ最新作『ライフ イズ ストレンジ ダブルエクスポージャー』クリアしました!
※後半以降ネタバレがありますのでご注意を
対応機種 | PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch /PC |
価格(税込) | ・通常版 7,678円 ・デラックスエディション 8,778円 ・アルティメットエディション 9,878円 |
ジャンル | アドベンチャー |
プレイ人数 | 1人 |
CERO | D |
開発 | Deck Nine Games |
要点まとめ
- 初代『ライフ イズ ストレンジ』から続くマックスが主人公の続編
- 本筋ストーリーは大丈夫だけど所々初代を知らないとわけがわからないところ多数
- ストーリーは謎を追う初代らしいミステリーストーリーではあるが初代ほど壮大なものではないかも
- 本作の超能力は“時間の巻き戻し”は使えず、“パラレルワールドの行き来(覗き見)”のみ
- ゲーム性や雰囲気は、能力以外今までの『ライフ イズ ストレンジ』と特に変わりない選択アドベンチャー
- 音声やキャラクターなどでバグが発生多め(今後のアプデ改善に期待)
BGMやグラフィックなど『ライフ イズ ストレンジ』“らしさ”は変わらずGOOD
作中の挿入歌が特徴の『ライフ イズ ストレンジ』、本作でもその本領は発揮しており、作品のあらゆるところで魅力的な挿入歌が流れます。作品の雰囲気に合った選曲は毎度素晴らしい。
何か違うとすれば、『初代』や『2』のように様々なアーティストを起用するのではなく、決まったアーティストの曲を多めに挿入歌として採用している『ビフォア ザ ストーム』に近いもの感じます。それのおかげか『Life is Strange: Double Exposure』のアルバムとしてまとめて検索できるのはありがたかったですね。(曲数も今まで同様多め)
もう一つ、『ライフ イズ ストレンジ』といえば、アニメっぽい温かみのあるグラフィックが特徴でしたが、本作はハードの進化もあって、よりリアルさが出ています。
ただし、アニメとフォトリアルの中間のような“らしい”グラフィックは失われていないちょうどいいです。
リアルなフィクション作品だけどフォトリアルすぎない、実に『ライフ イズ ストレンジ』らしいグラフィック、グラフィックの精度が上がって表情やモデルに磨きがかかっても、シリーズらしさは失われていなかったので良かったです。
キャラクターとの会話や調べ物の選択肢も豊富で、2周目くらいなら選択肢次第で違う結果を楽しむことも。
シリーズ5作目となり変化球がありそうな予感はしていましたが、プレイしてみた結果、全体を通してちゃんと『ライフ イズ ストレンジ』してました。
シリーズ初の主人公続投となったマックス・コールフィールド
初代では高校生だったマックスが、10年という時を経て、新天地でカレドン大学の講師に。
『ビフォア ザ ストーム』で描かれた前日譚はあったものの、過去作の主人公を新たな主人公にするという直接的な繋がりを見せたのはシリーズ初です。
ただし、このマックスを主人公にしたという点は、個人的にあまりその必要性を感じることが出来ず、良い印象を持てない結果となりました。
舞台もキャラクターも初代を知らなくても楽しめるはずのストーリーなのに、初代を知らないと入り込めない部分が多くあって、新規プレイヤーにはオススメしづらく、ファンに向けた内容なのか新規プレイヤーを取り込みたいのかどっちつかずな印象だったからです。
個人的には初代のリマスターも出ていることだし、初代から切り離すようなストーリーにするのももったいない気がしていました。
しかも新能力にしてる時点でマックスである意味を感じることがあまりなく、クリアしても「なんでマックスが主人公だったんだろう…」という印象しか残りませんでした。
ゲームのボリュームもそれほど多いわけでもなく総評として凡作となってしまったのが残念です。
“パラレルワールド”を扱った能力なのに存分に発揮できていない
「別の時間軸への移動」という壮大な能力への期待が高かったのですが、結果としてその真価をあまり発揮されないまま終わってしまいました。
「別の世界から覗き見る」というチート級探索要素もあるに、本編やサブクエストで少し使った程度で、あまり活用されず、会話を盗み聞きする程度にしか扱われず、別の世界の人物を覗き見ても特にマックスの反応がないということもしばしば。
もっと探索要素として使う機会を多くしても良かったかなと思います。ストーリーの一部に別の世界を覗き見ることで正体を明かすみたいな展開があったのですが、もっとそういうのが欲しかったかなと。
「物体の移動」も同様な印象。ストーリーの都合上、あった方が便利だから能力を足しときましたくらいにしか思えませんでした。
なぜなら使う機会がムービーシーンでしかなかったから…。「こんなこともできるんか…!」と思っても実際は2回ほどしか見てないので結果的になくてもどうにかできたのではと思います。
『トゥルー カラーズ』でも薄々感じていたこの“超能力を扱いきれてない感”が顕著に出てしまったのが本作で、やっぱり「DONTNOD」シリーズの方が超能力のアイデアは凄いかも。
能力に伴い、マックス・コールフィールド自体の扱いもあまりよく思ってません。
クロエを救っても行き違いで疎遠となり、アルカディア・ベイを救ったとしてもクロエを犠牲にした自責の念で苦しむというどうあがいても報われないマックス。
クロエ、もしくはアルカディア・ベイを失ったマックスの行く末は正直、あそこで終わらせてこそだったと思うので、その後のストーリーはプレイヤーの想像で終わらせてほしかったですね。
多くのプレイヤーが苦渋の決断をしたであろう初代エンディングが、それがマックスの能力の運命だったとしても、後味の悪い報われない結果に終わっていることが残念でなりません。
本作の本筋ストーリーがマックスをわざわざ主人公にしなくても成立してしまうのが余計にそう思わせる原因でした。
所々にバグが目立つ…
進行不能になるほどの大きなバグはありませんが、キャラクターが表示されないまま会話アイコンが表示される、喋っていてもキャラクターの表情が固定される、音声が字幕と合っていない、そもそも音声が流れないなどの細かなバグが結構な頻度で見受けられました。
とくに目立ったのは音声の音量の強弱がおかしいこと。そもそもバグなのか調整ミスなのかもよくわからないのですが、突然大きくなったり、極端に小さくなったりと所々おかしな部分が多かったです。(日本語音声でプレイ時に確認)
正直、急いで作ったんじゃないかなってくらいあらが目立つので、アップデートで改善してほしいですね。
オススメポイント
- 『ライフ イズ ストレンジ』らしいミステリー+アドベンチャー
- どことなくファンサービスを思わせる初代と似たストーリー展開
- BGM(挿入歌)が相変わらず良い雰囲気を醸し出す
- 会話などの選択肢、それによる展開の変化が相変わらず豊富
- DLCで猫を呼べる(品種も選べるよ)
ゲームとしては面白いですけど『ライフ イズ ストレンジ』として見るとちょっと期待外れ感が…。
ストーリー自体は別に良かったのですが、マックス主人公という初代から引っ張ってきた要素を活かしきれていない印象が目立ちます。
『ライフ イズ ストレンジ』が好きだからこそ、マックス自身を含めた初代のその後は『2』程度に触れるくらいがちょうど良かったのかなと思ってしまいますね。
当初マックスが主人公って聞いたときはめっちゃ嬉しかったんですけど…期待しすぎていたのかもしれない。
※↓にネタバレありのレビューあり。
※ここから↓はネタバレあり注意
ストーリーは消化不良を残し終わりへ…
サフィの事件すらスッキリしないところがあるのに、ラストは別の世界を合体させてうやむやにした上にサフィの他にも超能力者がいるような描写を残して終わりなのはどうなのかと…。
今までのシリーズはどれも1作完結のストーリーだったので、初代でのクロエと町の選択、『2』の自由に伴う犠牲と贖罪の選択などのスッキリしない感じは妥当なものとして楽しめるので良いんですけど、こんな「結局あれはどうなったの?」という形でのスッキリしないエンディングは『ライフ イズ ストレンジ』ぽくはないなと思いました。
続編出すにしてもどう繋ぐのか…期待というより不安の方が強いです。
時空がねじ曲がって、最終的に世界が合体しちゃってあらゆることがうやむやになったのがすごいスッキリしない部分でもあります。序盤でサフィを撃ったのは結局のところ別の世界のマックスってことでいいのかな…?その辺理解しづらかったです。
初代も最終的にやってきたことが無になるようなエンディングはありますが、それは結果を踏まえた上で自分の選択で決められるものだったので良かったんですけど2つの世界を合体させたので2つの世界の事件もサフィも復活して解決!ってこれは…。
結局、ゲーム中一度しか起きなかった謎現象のせいで最後までいなかったことにされたアルダーマンとサフィの殺害現場に咲いた奇妙な花もなんだったのか理解できないですし、とにかく消化不良でした。
「超能力」という希少さが薄れる展開には疑問
マックスはタイムトラベルからパラレルワールドへの移動、さらには2つの世界を合体させるという“超”超能力に目覚めるだけである意味お腹いっぱいだったのに、サフィの変身能力に加え、先ほどの通りダイアモンドにも超能力がある(合体の影響で目覚めた?)ような描写が映り、今後、超能力のバーゲンセールみたいな状態になりそうなのが怖い。(実際このダイアモンドの能力匂わせはどうとでも捉えられるので早とちりかもしれないけど)
超能力者が一か所に集まるという偶然にしてもありえない状況になり、超能力そのものの希少性が薄れることとなったこの展開はちょっと受け入れにくいかも。
もちろん、それで面白ければ良いんですけど、2人も超能力者出しといてその能力をうまく扱いきれてないストーリーだったゆえ不安が勝る。
今後の超能力を取り巻く苦悩や葛藤が描かれてきた『ライフ イズ ストレンジ』が、次回作次第で超能力が当たり前な世界観になっていくんじゃないかという心配があります。
あくまでも、超能力を持つその人(とその関係者)の希少で“奇妙な人生”を描いて欲しいなぁという個人的な願望からくるものなんですけどね。