今回は【レビュー編】となります。
個人の感情が思いっきり入っているレビューとなっているのであまり参考にならないかもしれないです。
※エンディングまでの重大なネタバレが含まれていますので、未プレイの方はご注意ください。
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Part IIの良さとは
- 周知されている通り、美しいグラフィック
わざわざ書かなくても良いくらい評判が良いグラフィック。不満があるなら逆に聞きたいくらい。
PS3で発売された前作からPS4になってとんでもない進化を遂げました。ちょっとした表情から感情が読み取れるほどキャラクター1人1人の作り込みが細かいし、リアルなロケーションや武器は臨場感を高めてくれて、美麗なグラフィックが生み出す“生々しさ”は『The Last of Us』の世界観に違和感を覚えることなくどっぷり浸かることができました。 - 複雑すぎない操作で遊びやすい
ステルス戦術や武器の切り替えなど直感的に操作できるので遊びやすかったです。
前作の操作に匍匐と回避がついた程度であまり変わり映えしないのが不満な人もいるでしょうが、ストーリーメインな部分もあるので逆に前作からすんなりと遊べるのは良いことだと思いました。
一気に敵を一網打尽にするもよし、ステルスで確実に仕留めていくもよし、という自分に合ったスタイルを選べる良さは健在でした。 - 痒い部分にも手が届く細かい作り込みがすごい
このゲームは作り込みがほんとに容赦ないです。ゲーム中では気にしないような部分までも作り込まれ、徹底的にリアルな世界を作り上げているノーティードッグには脱帽しました。
武器カスタマイズや雪や埃につく足跡、屋内と屋外で変わる発砲音、やったらわかるリアルすぎる縄の挙動、モブ敵キャラにも名前あったりと挙げるとキリがないです。
こういった作り込みが、この世界感に引き込まれる1つの要素で、魅力でもあります。 - 半オープンワールドのような場所がいくつか存在する
元はオープンワールドにする予定だった名残なのか、リニアな展開にしては序盤のシアトルからの自由度はとても高かったです。中途半端と思う人もいるかもしれませんが、広さ的には結構ちょうど良い気がしました。強いて言えば、序盤のような広いステージがもう少し点々とあっても良かったかなぁと思ったくらいです。 - 結果どうあれ“挑戦的な作品”であったことは間違いなし
ストーリー自体に関しては別として、確実に批判が生まれるであろう作品を恐れず生み出したノーティードッグの挑戦的な姿勢には敬意を表します。『アンチャーテッド』は面白いけどシリーズを重ねていくごとにマンネリを感じていたので、このゲームで「こんな刺激的なもの作れるんだ…」と圧倒されてしまいました。
残念だったところ
- メインであるはずの「感染者」「寄生菌」の存在が空気
前作では“寄生菌の脅威から人類を救う”という目的があり、感染者がとても脅威的な存在であるということが念頭にあったのですが、今作は人vs人の「復讐」がテーマとなっているため、感染者や寄生菌の存在がオマケのような扱いでした。寄生菌の謎が解明されるでもなく、エリーのような免疫持ちが現れるわけでもなく、新しく登場した“ストーカー”や“シャンブラー”含め、感染者は“ただのやっかいな存在”に成り下がっていたのは残念でした。 - エリーの免疫は結局、完全なものなのか、不完全なものだったのか
前作のエンディングで、エリーが自分の傷口を見つめているシーンがあったのですが、数ヵ月経っているのに感染者に噛まれた傷口(よく見えないが傷口が広がっているようにも見える)が治らず、最後のセリフ「わたしはまだ待っているの」の真意が、免疫は不完全で、感染は徐々に進行していることを指しているのかどうなのかが謎のままでした。数年経ったPart2でも免疫は効いているようですし、傷口は焼いちゃったしで結局よくわからないままです。
前作は続編を想定していなかったので、それも要因なのかもしれませんが、ちょっとモヤモヤが残ります。
もしかしたらPart3で明らかになるのかも…? - ジョエルの死が雑
前作のような超ハードな世界を生き抜いてきたジョエルが、あっさり取り囲まれ殴り殺されるのは違和感がありました。
前作では助けを求めてきたギャングを一瞬で嘘と見抜いたジョエルが、山奥でいきなり出会ったよくわからない集団を警戒しないわけないじゃないですか。
少なくとも、足を撃ち抜かれたとしても必死に抵抗しそうなものです。(元ファイアフライのメンバーと知り、復讐を察して受け入れたとかならまだわかるのですが…)
それゆえ、“ただジョエルを殺しておきたかった”かのような演出は、納得するには難しいものでした。 - 詰めが甘すぎるジョエル復讐メンバーたち
やっぱりあの場でトミーとエリーを逃がす理由がわからないです。絶対報復しに来るでしょ…。
エリーがアビーに復讐心を燃やすためジョエルが死ぬ様を見せる必要はありますが、「おれたちはこいつ(ジョエル)とは違う」と主張するなら、嬲り殺すのはどうかと思うし、そもそもジョエルを殺すという行為自体もおかしくないですか。
エリーが例の免疫持ちだとわかっていたなら話は別ですが、ノラは胞子に耐性がある様子を見てやっと気づいた感じでしたし…。
ジョエルを殺す→その場を去る→その去る現場をエリーが見つける→ジョエル優先で放っておくも、ジョエルの死体を発見、とか
ジョエルを瀕死状態にさせる→その場を去る→エリーがジョエルを発見するも、押し寄せてきた感染者からジョエルを救えなかった、とかそういった理由でも充分復讐に繋がったんじゃないと考えてしまいました。
まぁこんなこと後出しだからこそ言えることなんですけど。 - アビーにヘイトを集めすぎた
アビーを第2の主人公にするのなら、ジョエルに対してあんな惨たらしい殺し方をさせるべきではなかったと思います。
世界を救うカギでもある実の父親を、夢を叶える直前で殺され、ファイアフライも壊滅させたというジョエルに対する復讐心はまだわかります。それ故、痛めつけ殺したいという理由もわかります。
しかし、ヤーラやレブという命の恩人をまた命がけで救いたいと願う心の優しい人だと証明させたかったのなら、やはりジョエルを殺した張本人をアビーにすべきではなかったと思います。
アビーも、犯行直前にジョエルに命を助けられているし、ジョエルもまたすべてを犠牲にしてでもエリーを救いたかったという理由があったことを理解しているはず。なのに、自分の陣地におびき寄せ、足を吹き飛ばし、殴り殺す、という所業は許されるものではないでしょう。特に前作ファンからすれば。
せめて犯行メンバーであっても、とどめを刺した人物はまた別にして、アビーがジョエルを殺した張本人とエリーに勘違いさせる形にすれば、ここまで嫌われるキャラにはならなかったと思います。 - 突然出てきた「ラトラーズ」
なんでこんな武装してるの?何者なの?そもそも誰??
といった感じで急に出てきたギャング集団「ラトラーズ」。
集団を示すオリジナルのマークがちゃんとあったり、ヘルメットを被って安易にヘッドショットが狙えないやっかいな敵がいたり、WLFのように犬を飼っていたり、裏切り者には容赦なかったりとめちゃくちゃやばい武装集団の割りには、特にストーリー的に特に目立った描写もそれほどなくあっさり壊滅しました。
ただストーリー的にメリハリを出したいがため、敵を無理やり出してきたという感じが雑に思えて残念です。
(続編で出る可能性もなくはないですけど) - ミスリードの域を超えちゃってるトレーラー詐欺
この2019年(日本語版は2020年)に公開されたトレーラーの内容はアウトでは?という箇所が…。
これは、トレーラーの最後のシーン。
ゲーム本編ではシアトルでジェシーと再会する場面なのですが、2019年に公開されたトレーラーでは…
なんと、ここでジョエルが登場します。
いくらなんでもミスリードではなく、ストーリーに大きな影響を与えるような別物のシーンを入れてくるのはアウトでは…?
これでまたジョエルと一緒に旅ができる!と思っていた人も多かったでしょう。
しかし、実際は序盤で殺されることに…。これには批判が集まっても仕方ないでしょう。
ちなみにこの2019年版トレーラーのみのシーンはこの場面だけではなく。
キャラクターもモデルを少し変えたり、服装を変えたりと、ネタバレ防止のために手を加えることはゲームのトレーラーではよくある手法なのですが、カットされたシーンではなく、全くないはずのシーンを入れてくるのはさすがに騙された気持ちになってしまいますよね。
開発途中とは言えど1年前なので、ゲーム自体はそこそこ出来上がってたはずです。
このトレーラーを作る時点でジョエルが序盤に死んでしまうことは決まっていたはずなので、これは確信犯の可能性が高いです。
総合的にこのゲームはどうだったのか
「このゲームについてどう思ったか?」と聞かれると難しいしどうしても長くなっちゃいますね…。
偉そうに色々と言いたいこと言っちゃいましたけど、個人的にこのゲームは「良作」だと思っています。クソゲーと思ってプレイしたことはなかったです。
グラフィックやゲームシステムなど、この部分は文句なしですよね。むしろ前作をプレイ済みなら今作も同じようにすんなりと入り込める良さがあります。(それゆえ、前作と代り映えしないという意見もありましたが)
「良作」だとちょっと中途半端ですが、「神ゲーですッ!」と心の底から言えないのも事実。
この賛否両論になる主な原因はやはり“ストーリー”になると思います。
前作ファンを裏切る勢い本作は、とにかく“暗い” “重い” “悲しい”といったイメージしかないです。
元から寄生菌が蔓延した世界というリアルで過酷な世界観のストーリーなので、どうしても暗くなってしまうのですが、前作にはまだ抗体を持つエリーという“希望”が存在し、そのエリーをジョエルが守っていく中で次第に芽生える親子のような絆に“救い”がありました。
今作はその“希望”も“救い”もないんです。
開始数時間後、ジョエルの死によって心が打ち砕かれ、良い人が次々と殺し、殺され、誰も報われない報復の連鎖が繰り返されることになります。
しんどかったです。“クソゲー”とは思わなくても“しんどい”と思いながらゲームを続けていました。
ただ没入感で言ったらこれまでのめり込んだゲームそんなになかったなぁと思えるほど嵌りました。
怒涛の展開で、先が気になってしょうがなかったです。
こんなに“しんどい”と思ったゲームはない、それぐらい感情移入していました。
否定的な意見もありますが、「いつ誰が死んでもおかしくない、常に死が隣り合わせのリアルな世界で繰り広げられる“エリー”と“アビー”というキャラクターの復讐劇」として、このしんどさを楽しんでいました。
結果どうあれ、ストーリー、ゲームシステム、グラフィックなどを全部ひっくるめて、ここまで夢中にさせてくれたらこのゲームは「良作」なんじゃないかなって思ってます。