『ライフ イズ ストレンジ』シリーズで有名な「DONTNOD Entertainment」が贈るアドベンチャーゲーム『Tell Me Why』をクリアしました。
※2022年に「DONTNOD」は「Don’t Nod」へと社名変更しています。
主人公はトランスジェンダーでありトランス男性のタイラーとその姉(妹?)のアリソンのローナン家の双子ということでダブル主人公になります。
「DONTNOD」お得意のストーリーメインのアドベンチャーゲームですのでネタバレは控えつつ、語れる部分としては、幼少期のタイラーが、“自分を殺そうとした”という理由で、実の母親を殺害してしまったところから始まります。
少年院での刑期を終えたタイラーは、唯一の家族となったアリソンと10年ぶりに再会し、2人が生まれ育った生家を引き払う際に、“母親がタイラーを殺そうとした”ということに疑問を持つきっかけが生まれ、その謎を解明していく物語となります。
Xbox One / Steam のみでの配信で、物語は3章構成と『ライフ イズ ストレンジ』シリーズと比べると2/3ほどで少々短く感じるボリュームですが、初代『ライフ イズ ストレンジ』に近い内容の先が気になるストーリー展開には夢中にさせてくれました。
この『Tell Me Why』が、Steamで無料配布されていた時期がありまして、その時にダウンロードしたものを今になってようやくプレイ。ということで、今回初めてのSteamでプレイしたゲームのレビューになりますが、内容については今までとあんま変わらないです。(とりあえず自分の低スぺPCでもしっかり動いてくれたことには感動してます)
難しいテーマに切り込みつつも、誰でも引き込まれるストーリー
トランスジェンダーなどの扱いづらいテーマに切り込んだストーリーということで注目を集めていた『Tell Me Why』
そのトランスジェンダーであるタイラーとの接し方に悩む母親 メリーアンを中心とした双子の物語になるかと思いきや、メリーアンから引き起こるローナン家の問題が思わぬ方向へ派生していき、中盤から謎追い求めるミステリー作品のようになります。
先ほどの通り、物語は初代『ライフ イズ ストレンジ』に近いものがあり、難しいテーマを扱いつつも、そこだけにスポットを当てるようなものではなく、誰でも楽しめるストーリーとなっています。
それ故、こうしたテーマに切り込んだ意味を考えると、結局 “何を伝えたいのか” がわかりにくくなってはいますが、“一つの家族の物語”として見れば十分に楽しめました。
双子ならではの“能力”の扱い方がうまい
主人公のタイラーとアリソンは、2人の間でのみ通じる「テレパシー」と「記憶を具現化」する能力を持っています。
テレパシーは離れた距離でも脳内で相手の声を聞くことが出来るという想像しやすい能力、もう一つの記憶を具現化する能力は、どちらかのその時の記憶を同じ場所で再生し、共有することができます。
“記憶”というものは歳を重ねるごとに曖昧になっていくのは百も承知で、双子といえど、その時感じた感情や思い込みで記憶に変化が起こり、全く同じ記憶を共有しようとしても、どこかで食い違いが起こってしまうのです。
(例えば、10歳の誕生日の天気を再現しようとしても、タイラーが晴れと思っていれば晴れ、アリソンが雨と思っていれば雨の景色が再生されるみたいな)
記憶を頼りに物語を進めるとき、タイラーかアリソンどちらかの記憶を選択しなければならない場面が出てきます。
もちろん、ただの記憶なのでどちらが正しいかったかはわからないことが多く、どちらが正しいか、というよりもどちらを信じるかという決断になります。
この“記憶の選択”というのが今までになかった選択肢のタイプだったので新鮮で楽しめました。
『ライフ イズ ストレンジ』との違いはあまり感じない
能力持ちの主人公と聞くと、やはり『ライフ イズ ストレンジ』を思い浮かべます。
ボリュームの少なさか取り扱うテーマの問題か…シリーズとは切り離されていますが、クリアしても結局のところ、なぜ『ライフ イズ ストレンジ』シリーズではなかったのかわかりませんでした。
難しいテーマを扱っているといっても、「DONTNOD」はLGBTQなどのポリコレには結構触れているので、この『Tell Me Why』だけが特別そのような印象を与えるというほどでもなかったです。
ポジティブに捉えれば『ライフ イズ ストレンジ』シリーズを遊ぶ感覚でプレイできるというところ。
ただし『ライフ イズ ストレンジ』との差別化を図るのであれば、その差はあまり感じられませんでした。
日本語字幕のみのため理解しづらい部分も…
本作は日本語字幕しか対応していないため、日本語吹替えがないです。
日本語訳の内容に関しては、機械翻訳のようなものではなく、わかりやすい翻訳でストーリーを理解するには十分な訳になっています。
ただし物語上、文章を読む機会が多く、設定をすべて理解しようとすると小説を読まされるような感覚になるのです。
じっくりプレイする分には気にならないと思いますが、日本語訳で書かれた文章をひたすら読まなくてはいけなくなるので、テンポよくストーリーを進めようとすると、どうしてもこの辺が面倒に感じてしました。
補足程度の内容ならいいのですが、ストーリーにも謎解きにも関りのある絵本の内容を理解するためにひたすら読まなくてはいけなかったのが苦に感じた部分でした。
文章飛ばしまくった自分がクリアできる程度なので映画感覚でプレイするのも一応問題ないのですが、文字読むのが苦痛だと躓く箇所も出てくるよ!というところは頭の片隅にでもあった方がいいかも。
新年1発目です!今年もよろしくお願いします。
「DONTNOD」のアドベンチャーゲームが好きなのでこれもずっと気になってはいたのですが、やっと遊ぶことが出来て嬉しい。
現在開発中の「DONTNOD」作品に期待してるので、振り返りついでに「DONTNOD(Don’t Nod)」発のゲームのトレイラーを置いていきます。